日本文化の多くは、実は中国伝来のものですが、畳は日本の気候にあわせつくり上げられた日本発祥の文化です。
現存する最も古い畳は奈良時代につくられたもので、つくりが現代とは若干異なるものの、時代の変遷と共に改良が加えられてきました。
昭和に入ると、西洋文化が積極的に取り入れられるようになり、畳を使った和室は減少していきましたが、近年ではフローリングにはない畳のよさが見直されております。今なお必要とされるい草畳の魅力を改めてご紹介いたします。
い草を使用した畳には、私たちの生活に役立つ効果があるのをご存知でしょうか。近年では畳を敷いた和室が減少しておりますが、い草畳の魅力を知ることで、改めて和室、畳のある生活のよさを知っていただければと思います。
畳表に使われるい草や、畳床に使われる稲ワラには空気がたっぷりと含まれています。空気の層がクッションの役割を果たし、ふわふわとした心地よい感触を生み出しているのです。万が一転んだ場合にも、衝撃を和らげる効果が期待できます。
い草は、空気を取り込むことができるため、夏季のじめじめとした湿気を吸い取り、冬季の乾燥には湿気を放出することで潤いを与えます。床材に畳を用いれば、断熱材のような効果を発揮し、夏は涼しく冬は暖かい理想的な住環境を実現することが可能です。
い草の香りには、ほっと心を落ち着かせるバニリンやフェトンなどの成分が含まれており、アロマテラピーのようにリラックススタイムを過ごせる空間になるでしょう。また、二酸化窒素やホルムアルデヒドなどを吸着分解する作用をもあると言われています。
畳は吸音効果に優れた床材です。衝撃を吸収する弾力性と同じく、空気の層が人の足音や振動などを吸い取り、静かな落ち着いた雰囲気を演出します。生活音が響きにくいため、小さなお子様や、ペットと暮らすご家庭でも音によるストレスを減らしながら生活することが可能です。
一般的な畳は、畳の芯となる板状の「畳床」、その畳床を包む敷物状の「畳表」、畳表を固定しつつ、装飾も兼ねる帯状の「畳縁」で構成
されております。近年では、畳縁のない畳も流行してきており、地域や用途にあわせ、多種多様なサイズ・素材の畳が登場いたしました。
昔から変わらず愛されてきた伝統的な畳です。畳床、畳表、畳縁の構造からなり、お好みにあわせて様々な素材からお選びいただけます。特に畳縁は、色や柄、素材が豊富なため、じっくり吟味することが可能です。
建築様式の変遷とともに普及し始めた縁のない畳です。現代風の建築物の間取りにあわせて大きさや形を変えられるだけでなく、織り方や敷き方などの組み合わせによってデザインにもこだわることができるため、近年人気が高まっています。
掛け軸や花・壺などの美術品を飾る床の間には、畳表に特殊な龍髭表を、畳縁に高麗紋縁か座敷と同じものを主に使用いたします。近年では、お買い求めやすい薄縁と呼ばれる畳表も床の間畳として人気を博しております。
畳の顔ともいえる表面部分の「畳表」の素材には、い草を使用することが主流でしたが、
近年では用途によって様々な素材を用いるようになりました。
その中でも代表的な畳表の種類を紹介いたします。
主に床の間に用いられる独特な畳表です。花・壺などの美術品を飾った後に、日焼けなどをして色むらができないよう、あらかじめ天日にさらして綺麗に焼けた状態のい草で織り上げます。
一般的な丸い草を使用して、琉球表に似た織り方をしていきます。ほかの畳表に比べ、目の幅が細かいのが特徴です。縁なし畳によく用いられ、上品な見た目とリーズナブルな価格から近年需要が高まっています。
畳の土台となる畳床に、従来のワラではなく耐久性に優れるポリプロピレン(PP)と吸湿性炭酸カルシウムを配合してできている「美草」や、ポリプロピレン(PP)と無機質な材料と発泡剤を入れて製造している「敷楽」等があります。天然い草のような日焼けによる退色や毛羽立ちなどは軽減されますが、天然い草は退色によって汚れが目立たなくなるのに対して、化学表は経年による汚れが目立つように感じます。
断面が丸い一般的ない草ではなく、断面が三角状になっている特殊な七島い草を使用した高級な畳表です。とても強靭で、縁なし畳に多く用いられています。感触や香りが独特で使えば使うほど味わいが増していきます。
い草の代わりに和紙を樹脂でコーティング加工したもので織り上げた畳表です。お手入れも簡単な上、ダニ・カビが発生しにくい、アトピー性皮膚炎やアレルギーの症状でお悩みの方にもおすすめと言えるでしょう。
畳縁とは、畳を補強するために付けられる布のことで、耐久力に優れた機能性と、畳表の美しさを引き立たせる装飾性を兼ね備えています。縁のデザインによって、部屋の雰囲気が大きく変化するため、無地なのか柄物なのか、色や素材をどうするのかは非常に重要です。
下記でご紹介している以外にも、豊富な種類がございますので、お好みにあわせてお選びください。